好村兼一
侍の翼

江戸の裏長屋で暮らす宍倉六左衛門。かつて関ケ原で祖父を、大坂の陣では父を失った。

また島原の乱で息子を失う。日雇い仕事で養う病身の妻も、看病の甲斐なく他界。

希望を失い、祖父、父、息子のように侍らしく死にたいと願う。

そんな折、由比正雪らの幕府転覆の企てを知り、絶好の死に場所を得る思いがしたのだが……。